事故後に収入の減少がなくても逸失利益の賠償請求は認められることがあります
後遺障害が残っていたとしても、事故後も収入が減少していないという理由から、加害者が加入している保険会社は、逸失利益の賠償を認めない、あるいは少額の賠償しか認めない例も多くあります。
しかし、保険会社のこのような判断は、裁判実務を反映していない、形式的なものです。
事故後に収入が減少していなくても、逸失利益の賠償を認めた裁判所の裁判例は多く存在するのです。
それでは、収入の減少がないとしても、逸失利益の賠償が認められるためにはどのような事情が必要なのでしょうか?
たとえば、以下のような要素が考えられます。
将来収入が減少する可能性が高い事情
具体的な事情
- 後遺障害が業務に支障を生じさせている場合
- 昇進・昇給において不利益があった/あるかもしれない場合
- 退職後の再就職・転職に不利益がありうる場合
- 勤務先の倒産やリストラの可能性がある場合
- 現在の職種にとどまることができる可能性が低い場合
- 後遺障害を理由として配置転換をされた場合
本来収入が減少するはずなのに、偶然減収を免れたにすぎない事情
具体的な事情
- 後遺障害のことを勤務先が配慮し、業務の負担が軽減されている場合
- ご本人が努力して業務の能率低下を防いでいる場合
- ご本人の忍耐によって業務を継続している場合
こうした事情が認められる場合には逸失利益が認められる可能性があります。
もちろん、これらの事情すべてが認められないといけないというわけではありませんが、具体的に逸失利益が認められるかどうかは、個別の事情にもよりますので、弁護士にご相談されることをお勧めします。