腱板損傷や関節拘縮によって、骨折がなくても肩の可動域が制限されることがあります。
事故により肩の動き(可動域)が制限された場合、その制限の度合いに応じて8級6号・10級10号・12級6号の後遺障害が認定されます。
このような肩の可動域制限は鎖骨や上腕骨の方に近い部位が骨折した場合に生じることが多いですが、骨折がなくても、また骨折がきれいに治っても生じることがあります。
腱板損傷
腱板とは肩を動かすための筋肉と腱の集合体です。
交通事故で肩をぶつけるほか、手をついて転倒した場合にも腱板が痛めてしまうことがあります。
腱板が完全に断裂してしまった場合には腕は上がらなくなりますし、損傷にとどまる場合でも肩の可動域に制限が出ます。
腱板の損傷はレントゲンにはうつらないため、エコーやMRIでの検査によって確認します。
したがって、事故直後にレントゲンの検査しか受けていないという場合には腱板損傷による肩の可動域制限を見落としてしまうことがあるので注意が必要です。
関節拘縮
「骨折した肩の骨がきれいにくっついているのに肩が動かない」という場合には、「関節拘縮」という状態になって肩が動かなくなっている可能性があります。
関節拘縮とは関節の周辺の筋肉が固まってしまい、関節が動かせなくなることです。
関節部をギブスで固定するなどして、関節を長期間動かさなかった場合に関節拘縮が起こることがあります。
関節拘縮は筋肉の硬直で起こる可動域制限であるため、レントゲンにはうつらず、むしろレントゲンではきれいに治った骨折のみがうつることになります。
しかし、関節拘縮による可動域制限も後遺障害として認定されます。
上記のような腱板損傷・関節拘縮はレントゲンにはうつらないため、見落としの危険があるといえます。
レントゲンで異常がなくとも、事故後に肩の可動域制限が出ていればMRI検査で異常はないか、ギプスが取れた後に肩の可動域制限が出ていれば関節拘縮の疑いがないか、それぞれ検証するべきです。
腱板損傷・関節拘縮の解決事例
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