指の後遺障害には、指を消失した場合の欠損障害と、指を動かせなくなった場合である機能障害とがあります。

指の構造

 指の関節の呼び方は、指先から順に、次のようになります。

DIP遠位指節間関節 ※えんいしせつかんかんせつ(俗にいう第1関節
PIP位指節間関節 ※きんいしせつかんかんせつ(俗にいう第2関節

 親指の場合は、指先と付け根の中間部分の関節をIPと言います。

IP指節間関節(親指の中間部分の関節

 付け根の部分の関節は、親指もその他の指も全てMPと言います。

MP中手指節間関節 ※ちゅうしゅしせつかんかんせつ(付け根部分の関節

 つまり、指先から順に、親指の場合は①IP・②MPその他の指の場合は①DIP・②PIP・③MP、ということです。

欠損障害

 指を失った場合、欠損障害として後遺障害が認定されます。

 「指を失う」とは、親指であればIP関節(中間部分の関節)、その他の指であればPIP関節(第2関節)から先を失った場合を言います。

 DIP関節(第1関節)から先を失ったという場合は、欠損障害ではなく、下記の機能障害の話になります。

 後遺障害では、どの指をいくつ失ったかで等級が変わります。

 親指は手の重要な機能を担っており(親指が無いと、何か物をつまんだり、ペンを使って書いたりすることも困難です)、親指の欠損は等級が高くなっています。

欠損障害の後遺障害等級

  • 両手の指全て:第3級5号
  • 片手の5つの指又は親指を含み4つの指:第6級8号
  • 片手の親指を含み3つの指又は親指以外の4つの指:第7級6号
  • 片手の親指を含み2つの指又は親指以外の3つの指:第8級3号
  • 片手の親指又は親指以外の2つの指:第9級12号
  • 片手の人差し指、中指、薬指のいずれか1つの指:第11級8号
  • 片手の小指:第12級9号

 また、片手の親指の指骨の一部を失った場合は第13級7号、片手の親指以外の指の指骨の一部を失った場合は第14級6号の欠損障害と認定されます。

機能障害

 指の用を廃した場合には、機能障害として後遺障害認定されます。

 「指の用を廃す」とは、次のいずれかの場合を言います。

  • 指の末節骨(爪先から第1関節までの部分)の半分以上を失った場合
  • 指の末節の腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したもの※1
  • MP関節若しくはPIP関節(親指の場合IP関節)に著しい運動障害を残す場合※2

※1:感覚神経の断裂がある場合で、指先の感覚が消失してしまった場合

※2:著しい運動障害とは、①指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの、②根元の関節又はPIP関節(親指の場合はIP関節)の可動域が健側の可動域の2分の1以下に制限されているもの、又は③親指の掌側と反対側のいずれかへの外転が健側の2分の1以下に制限されているものを言います

機能障害の後遺障害等級

 どの指がいくつ用廃になったかで後遺障害等級が変わります。

  • 両手の手指の全部:第4級6号
  • 片手の5つの指又は親指を含み4つの指:第7級7号
  • 片手の親指を含み3つの指又は親指以外の4つの指:第8級4号
  • 片手の親指を含み2つの指又は親指以外の3つの指:第9級13号
  • 片手の親指又は親指以外の2つの指:第10級7号
  • 片手の人差し指、中指、薬指のいずれか1つの指:第12級10号
  • 片手の小指:第13級6号

 また、片手の親指以外の指のDIP関節(第1関節)を屈伸することができなくなったものは第14級7号の機能障害と認定されます。

 屈伸がすることができなくなったというのは、DIP関節(第1関節)が硬直している状態や、屈伸筋の損傷など原因が明らかで、自動で動かせない状態にあることを言います。

手・指の後遺障害が認められた解決事例

等級事例内容
併合9級左母指の機能障害等により併合9級となり3,100万円の補償を受けた事案
12級紛争処理機構への申立により適切な後遺障害の認定・裁判基準で解決した事例
11級示談交渉で裁判した場合と同額以上の1,140万円が補償された事例
12級後遺障害12級認定後、裁判せずに約2週間で1,225万円の賠償金が補償された事例

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